〜俺とアイツはいつもこう。〜

 「その・・・なんだ。アレだ。」
 「は?」
相変わらずのツリ目。ほんとーに前見えてんの?てちう疑問に刈られそうなそれをそらしながらアイツはやってきた。
 「今日は・・・あれだろ?」
 「何?ハッキリしなさいよ。」
なんだか・・最近どことなくハッキリしない。クレスに似てきちゃったのかなぁ?
 「あ・・あれだって!だぁ〜!!勘付けよ!!」
 「な!何?当たる気〜?」
 「あぁ〜〜!!もういい!」
・・・行っちゃった。なんだったんだろね?

・・・・・・・・・・・

 「たくよ〜・・・なんでこうなんだろな。」
 「つくづく思うよ。もう少し素直になりなよ?」
親友が半眼で呟いている。小さい頃から遊ぶといっちゃ山のこの小高い丘に来たもんだ。
 「とか言うおめぇはどうなんだよ。ミントにちゃんと渡したのか?」
 「な・・僕は関係ないだろ?」
 「んだよ渡してねぇのかぁ!?」
 「ぼ・・僕はこれから渡すつもりなの!チェスターはどうするのさ!」
少し顔を赤くしながら声を張り上げる。クレスはちっせぇ頃から変わらない。それがどれだけ羨ましかったことか。
 「さぁな・・・大体よ?アイツのあのまっぢぃのと、この俺のじゃ割にあわねぇよ!」
 「・・チェスター。」
 「おまえも知ってんだろ!?アイツの殺人的な殺戮具合を!あんなもん食った日にゃぁ・・」
 「チェスター。まさか本気で言ってないだろうな?」
 「・・・・・。」
 「知ってるんだろ?アーチェは2週間も前からミントに習いに通ってたんだぞ?」
 「分ぁってるよ。・・なんで俺はこうなんだろうな・・」
アイツが腰を上げ、こちらを見る。アイツの人懐っこくて優しい目は俺だけじゃない。ミントやアーチェ、クラースにすず。
皆アイツの吸い込まれるような金色の瞳が好きだった。
 「僕は先に引き返す。後はチェスターの頑張り具合にかかってるんだからね。」
 「け。おめぇも人のこと言えんのかよ?」
 「はは。ま・お互い頑張ろう。」
 「呑気なもんだぜ。」

・・・・・・・・・・・ 

 「ねぇ〜ミントなんなんだろぉね?」
 「何がです?」
ミントが少し困ったかんじであたしの顔を見てる。あたしが相談にくると結構こういう顔をよくする。失礼だな〜。
 「チェスターの馬鹿よ。急によそよそしくなっちゃってさ〜。別にいいんだけど。なんかかんじ悪いじゃ〜ん?」
 「よそよそしく?」
 「うん。ガラにもなくもじもじしちゃって。言いたいことはしゃんと言ってくれなきゃねぇ?」
 「・・アーチェさん。今日なんの日か知ってる?」
 「へ?何?今日?えっとぉ・・・クラースの命日でもないし・・・え?なんの日?」
あ。溜息ついたな。なんなのよ。もぅ〜。
 「アーチェさん。一ヶ月前何してました?」
 「何って・・・・何してた?」
あ。また溜息!
 「何って・・あんなに一生懸命作ってたでしょ?チョコレート。」
 「チョコ・・?・・・・あぁ!アレね!」
 「最近ほんとに忘れっぽいですよ。」
 「いや〜数百年も生きてるとどーにもねぇ。んでチョコがどしたのさ?」
あぁ〜〜!!?またぁ?今日のミントなんかひどいよぉ・・・
 「チェスターさんに聞いてください。さぁさ。家に早く帰らないと帰ってきちゃいますよ?」
 「・・・分かったけどさぁ〜・・・」
渋々出て行くあたしを見送りながらミントが微笑んだ。なんだろね。ちょっとイライラしてんのかな?
 
 「・・・ふぅ。クレスさんくれるかなぁ・・?」

・・・・・・・・・・・・

なんだ!?やべぇ!!
高鳴る鼓動を抑えつつ、机の上の包装を睨みつける。
 「たっだいま〜。」
 「お・・おかえり。」
げ・・・思いっきり声裏がえちまった・・・!
 「うん。ただいま。・・・ってそれなになに〜〜?」
アイツが机の上の包装に目をつけて駆け寄ってくる。俺の鼓動は最大に高まった。
 「や・・やる。」
 「え?私に?なんでまた?」
 「なんでって・・・アレだよ・・・ホワイトデー・・・」
 「ほわいと?何?それ。」
 「は?」
 「白いの?何が?」
なんじゃそりゃ。おい。これってまさか・・・
 「な〜んか皆変なのよねぇ。今日はなんの日か知ってる?とか。」
コイツ・・まじで言ってんのか?
 「ねぇ。開けてもいい?」
 「ん・・?ああ。」
嬉しそうにリボンをとき、箱の蓋を開ける。アイツは嬉しそうにそれを掴み上げた。
 「かっわいい〜〜♪何?これどーしたのよ?」
 「どーしたって・・作った。木彫って蔓で飾り付けて・・・」
 「うっそぉ!?アンタ結構器用なのねぇ。」
赤い髪留めをテキパキと自分の頭につけているアーチェを見ながら・・・
なんだ?俺今笑ってんのか?・・・け。ほんとガラでもねぇぜ。
 「チェスター。」
 「・・・あんだよ。」
 「ありがとね♪」

・・・・・・・ま。いっか。

・・・・・・・・・・・・

 「よぅ。クレス。」
 「チェ・・チェスター!?」
思いっきり声を裏返させながらクレスがこちらを振り向いてやがる。
 「どっした?家に入んねぇのか?」
 「な・なに言ってんだよ!今帰ってきたのさ!」
 「へぇ?」
 「・・・なんだよ。」
 「入らないのか?」
 「う・・・・」
んとに。俺以上だな。コイツも。
 「お〜い!ミント!今クレスが帰ったぞ〜〜!?」
 「チェ・・チェスター!!」
 「けけ♪せいぜい上手くやるんだな♪」

ん?雪か?季節はずれだな・・・
まぁ。ちっと遅れてるところが俺達と一緒だよな。
チェスターはにやけながら家路についた。

〜END〜

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